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ダライ・ラマ オーストリアで世界平和の為のセレモニーを行う

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(2002年10月15日 AFP通信)

写真:10月12日AP

(オーストリア・グラーツ)バリ島での流血の爆弾事件や米国のブッシュ大統領のイラクへの戦争の脅しとは全く反対に、チベットの精神的指導者ダライ・ラマは、世界平和を促進するセレモニーをオーストリアで執り行った。

70カ国ほどの国々から集まった仏教徒、仏教徒でない者もあわせて8千人ほどが、東オーストリアのグラーツの殺風景な工業地帯にある会議場に、瞑想するために、ダライ・ラマの教えを聞くために、平和の名のもとに一同に会した。

「時輪」という意味のカーラチャクラ儀式は、平和と寛容をよりすすめていくことを目的とする。儀式の中心は、色のついた砂で丹念に描かれた曼荼羅(まんだら)の絵(砂曼荼羅)で瞑想を手助けする。

砂曼荼羅は、会議場の黄色と深い赤の布と鮮やかなタペストリーの置かれた中央のステージにあり、グレーの大会場に鮮やかな色を添えていた。

10月15日、様々な世代の観衆を前に、たくさんの僧に囲まれたダライ・ラマがお経と法話で準備の儀式を始めた。カーラチャクラは18日に始まり、23日に終わる。
「ダライ・ラマはこのイニシエーションが平和をより広げていくためのものであると言っている」と今回のイベントの主催者の1人で米国のコロンビア大学の宗教学と思想学のスイス人教授のカフ・マーチン氏はAFPに述べた。さらに、こう述べた。
「仏教の教えは、様々な人種や文化の違いに関わらず、人生の全ての形を価値あるものし、考えを育んでいくものである。多くの紛争が起きている。他の人種や文化を理解できなかったり、軽蔑したりする故である。皆平等であるというメッセージをないがしろに自由への可能性を失い苦しんでいる人たちがいる」
さらに、200人近い人々が犠牲になり、イスラム過激派の仕業とみられている先日起きたバリのリゾート地のディスコでの爆弾事件に触れ、述べた。
「テロリズムはお互いの関係にものごとがあることを見分けられない盲目の魂から出てくる。平和な方法で成し遂げたほうがいい物事を暴力を使うことで強いることである」
1人の仏教徒として、イラクに対して軍事行動に出ようとしている米国のブッシュ大統領にどんなアドバイスができるか尋ねると、マーチンはこう述べた。
「ダライ・ラマはアフガニスタンでの戦争に対して警告を発していた。個人的に、私は、戦争は悪い方法だと思う。最も不適切な方法が使われている。もっと一生懸命、もっと深く掘り下げ、戦争が解決より問題しか産まないことを考えなければならない」

「もし多くの人々が平和の名のもとに一緒に集えたら、それは解決への手助けとなるでしょう」と参加者の女性。
「ダライ・ラマのカリスマ性と力で、カーラチャクラの儀式は人々の意識を啓発するものとなるだろう」と別の参加者の女性。

「私はこの儀式だけが世界を救う手助けになるとは思わない」とソナム・プンツォク。彼はチベット仏教徒でチベット民族舞踊音楽家である。ダライ・ラマのチベット亡命政権のあるインド・ダラムサラからこのカーラチャクラでのパフォーマンスのためにスイスに来た。そして、こう彼は続けた。
「人々は世界に平和をもたらすためーラチャクラを催した。しかし、平和は個々人によるものと思う。もし、人が本当に参加し、平和になるよう自分の役割を果たしたいなら、それは素晴らしいことだ」